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オンライン教育×農

今日は大磯で炭素循環農法をベースにした無農薬・無肥料で野菜を育てているFrom the field の農テンダー(農業+Barテンダー)こと細川 淳平さんに教えていただきました。

淳平さんの畑は山や森の微生物の生態系のシステムを畑の中で再現していて、限りなく植物と微生物が自然に共生して、循環しています。

そもそも、野菜や植物がなぜ育つかというメカニズムってなんだろう?

いざ学んでみると奥が深いのです。

たとえば、山に農薬を撒かなくても山にある植物や木が害虫によって全滅させられることもないし、肥料を山に追肥しなくても季節に応じて、豊かな実りがある。

その理由はなんだろう?

山や森では、微生物環境がバランスよく豊富にある。

山の植物は土壌の微生物と根っこで繋がることができるので、植物は必要な栄養素を微生物のネットワークである菌糸(菌糸の長さは無限に広がって行くため、世界最大の生き物であるという言葉もある)から供給してもらっていたり、微生物にとっても必要な養分を植物の実や落ち葉などから供給してもらって、相互にニッチな共生関係が成り立っている。

植物が必要な栄養素を微生物が菌糸という張り巡らされた広大なネットワークから運んでくれ、そして、微生物にとって必要なものも植物が木の実や落ち葉という形で供給してくれているという目に見えない糸で繋がった生かし合う相互扶助の関係には驚かされます。

一方で、畑の肥料には硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)が必ず含まれています。

畑に肥料を撒くことによって、土中の微生物は硝酸態窒素をじゃんじゃか食べて分解し、植物は根っこからそれを吸収し蓄える。窒素過多となった植物は光合成によって、アミノ酸とタンパク質を大量に蓄え、メタボ野菜(バランスの崩れた野菜)ができ、過剰についた養分を好物とする虫がわんさか集まった結果、野菜を食べて荒らしてしまう。

しかし、その集まった虫を農薬を散布して殺して、窒素過多のバランスの崩れた野菜が市場に出回っているのが現状なんです。

ここで、害虫は闇雲に野菜を食べているわけではなく、色んな意味でバランスの崩れた野菜を食べている訳で、虫ですら生態系のバランスを取る役割を担っているという事実。

淳平さんの畑は土づくりから始まります。

農薬や肥料を使ってきた土壌は、そもそも微生物環境が貧弱です。肥料を与えられている植物は微生物と繋がる必要がなくなるので、微生物が植物と共生できないのと肥料や農薬によって土壌の微生物バランスが崩れた結果です。

なので、まずは微生物を増やすために、何千年という年月で積み重なっている山や森の倒木や落ち葉の代わりに、剪定枝のチップを土に大量に撒き、それを微生物の餌とすることによって、豊富な微生物の循環のある土を作る。

その豊富な多様性の微生物の地に作物を植えれば、植物にとって必要な微生物は共生関係を結び、山や森のような生態系の循環システムが生まれる。

一度、大磯という海に近い土地にある淳平さんの畑は嵐のために塩害の被害を受けたことがあり、「もうだめだ」と思ったそう。しかし、その後はなんと過剰な塩分を微生物が排出し、野菜は見事復活したといいます。

ほかにも窒素過多の野菜は、えぐみやアクが多く、(えぐみやアクの正体は硝酸態窒素)養分過多な野菜はドロドロに溶けて腐ります。また、人体も過剰に窒素を摂取すると、メトヘモグロビン血症、発癌、生殖機能の障害が出るとされています。

淳平さんのバランスの取れた土壌で育った野菜は、無肥料故にえぐみやアクが少なく旨みが多く、不要な成分が入っていない分、日持ちがよく、古くなっても腐らず乾燥して終わる。
そして、農薬を散布していないので、もちろん野菜に虫もつくけれど、野菜はとても綺麗で虫に食べられていない。旨みが濃くて栄養価も高いのが特徴です。

植物と微生物の絶妙なバランスの共生関係とそれを食べて美味しくて健康になる人と持続可能な社会システムなんだかとても深いい話。

オンライン教育支援センターでは、持続可能な社会を学ぶSDGs教育の一環として、持続可能な農業というテーマで、淳平さんに授業をしていただけることになりました。

土壌の微生物と植物の関係というネットワークで繋がったミクロな宇宙から、人や持続可能な地球環境というマクロへとつながる壮大な話は、尽きることがなく、これからがとても楽しみです。